中性粒子DSMCモジュール

DSMCM

中性粒子DSMCモジュール(Direct Simulation Monte Carlo Module; DSMCM)は、 粒子モデル(DSMC法およびテスト粒子モンテカルロ法)により、中性粒子の密度分布等を計算するモジュールです。

計算手法の概要

DSMCMは、いろいろな真空装置内の希薄気体の流れ場を解析するためのモジュールです。気体を連続体であると見なして取り扱うナビエ・ストークス方程式の適用限界を超える、Kn数(クヌーセン数)の大きい流れ場(圧力が低い、あるいは流れ場のスケールが非常に小さい)の解析を得意としたモジュールです。計算機内に多数のサンプル粒子を配置し、それらの粒子の衝突を物理モデルに従って確率的に引き起こして運動を追跡していくといった、DSMC法を用いて解析しています。また、バッファガスの密度に比べて非常に小さい密度のガス種(ラジカル種やスパッタ粒子種など)の挙動を高速に計算するために、テスト粒子モンテカルロ法を用いています。

その他の特長として、

  • 重み付法により、密度差が大きい多種粒子種の計算が可能
  • 新衝突計算法(U-system)[1][2][3]により粘性流領域の解析が大きなメッシュ幅で計算可能です。

[1] Usami, M. and Nakayama T., Intermolecular Collision Scheme of DSMC Taking Molecular Locations within a Cell into Account, Rarefied Gas Dynamics, AIP Conference Proceedings, Vol.663 (2003), pp.374-381.

[2] Usami, M. and Mizuguchi, K., DSMC Calculation of Vortex Shedding behind a Flat Plate with a New Intermolecular Collision Scheme, Rarefied Gas Dynamics, AIP Conference Proceedings, Vol.762 (2005), pp.686-691.

[3] 宇佐美 勝, 衝突計算を改良したDSMC法の圧縮性流体への適用, ながれ(日本流体力学会・学会誌和文論文誌),Vol.26, No.4 (2007), pp.273-282.

入力項目

  • 2次元直交メッシュで表現できる、任意の容器形状、流入・流出口、 障害物の配置を指定することができます。
  • 流入・流出口の境界条件として流入するそれぞれのガス種に対して流入フラックス・温度・速度分布の形を指定することができます。これにより、流量指定の境界条件、圧力指定の境界条件を実現することが出来ます。
  • 壁面の境界条件として、温度、反射条件(拡散反射/鏡面反射/Maxwell型反射)、 壁面移動速度、反射率を指定できます。

出力項目

  • 中性ガス種の密度分布、温度分布、速度分布
  • 中性ガス種のターゲット(壁面)へのフラックス分布、エネルギーフラックス分布

計算例